シリコンバレーテクノロジー 2017.07.20

GPUデータベースからシャドーIoTまで 2017年Q2 話題のIoT スタートアップ 4選

こんにちは。Nissho Electronics USAの真次です。

もはやニュースでその言葉を見ない日がないといっても過言ではないIoT(Internet of Things)。

現在では世界的なメーカーが彼らの技術を活用し、あらゆるものをインターネットに繋げた製品を発表しています。それにより、IoTとはSmart  grids , Smart home , IIoT , Connected Car など様々な分野を総称した言葉に変化しています。

 今回は、投資の観点から注目するべきIoT スタートアップをご紹介したいと思います。2017年Q2(4月1日から6月30日)Deal額北米上位4社をまとめました。

1. Kinetica

ラウンド : Series A $50M
調達金額 : 合計 3ラウンド中 $63M
投資者 : Canvas Ventures, Citi Ventures, GreatPoint Ventures, Meritech Capital Partners, Ray Lane
設立 : 2009
本社 : San Francisco, California

画像処理装置(GPU)を搭載した分析インメモリーデータベースの大手プロバイダーであるキネティカは昨年、USPS(米国郵政公社)の事例がIDCのHPC Innovation of Excellence賞を受賞したことで話題になりました。

USPSはリソースがますます限られてくる中、米国の郵便データベースを管理せねばならないという課題に直面しており、支出を超過することなく、安全性、効率、サービスを継続的に改善する必要がありました。消費者はジャストインタイムの供給、追跡と配達状況のアップデート、動的な配達経路の選択など、高度なサービスを求めるようになっており、ビジネスプロセス性能を改善しながらコストを削減するには、生データに基づき、素早く意思決定を行う必要があります。

USPSはこうした課題に対応するために、従来型リレーショナルデータベースの開発者によるクエリーのニーズと、IoTを重視する現代の企業の拡張性に対するニーズを統合したKineticaを導入しました。

KineticaはNVIDIAのTesla GPUを活用し、従来のCPUベースのDB処理ソリューションに比べ、100倍のパフォーマンスを10分の1のハードウェアで実現します。パフォーマンスの大幅な向上により、大規模なシステムでもリアルタイムかつ正確に処理し、優れたビジュアル分析を提供することができます。USPSの事例では、毎分200,000以上のUSPS Deviceからのログ送信、1日に4億件以上のイベントを分析しています。

2. Armis


ラウンド:Series A
調達金額:1ラウンド中$17M
投資者 : Sequoia Capital, Tenaya Capital
設立 : 記載なし
本社: PaloAlto , California

ArmisはIoTのセキュリティプラットフォームです。IoTセキュリティの盲点を排除し、管理されていないデバイスやネットワークの脅威から企業を保護します。6月にSeries Aのアナウンスとともに、ステルスモードから公開したばかりの会社ですが、GartnerのCool Vendors in Security for Midsize Enterprises 2017に選ばれました。

このプラットフォーム上ではセキュリティーエージェントレス方式でわずか数分でネットワークを可視化できることです。IoT デバイスの状態を確認するだけではなく、接続が許可されていないIoTデバイス(シャドーITならぬシャドー IoT)を見つけ、ネットワークを遮断します。Cisco , Juniper などの既存インフラと連携して高度な可視化と制御の実現や、Palo Alto , Checkpointなどの既存セキュリティソリューションと連携して詳細な分析をすることが可能です。エージェントレス、既存インフラ連携がGartnerに高く評価され、Cool Vender受賞となりました。

3. CIMCON Lighting

ラウンド:Series B
調達金額:2ラウンド中 $16.27M
投資元 : Energy Impact Partners , Clean Entergy Venture Group , Launchapad Venture Group ,Massachusetts Clean Energy Center , TiE Angelsl
設立 : 2012年
本社:Westford , Massachusetts

CIMCON Lightningは、ボストン発のインテリジェント照明とスマートシティの技術を提供する世界的なリーディングカンパニーです。街灯に取り付けるセンサー及びクラウドベースの制御ソフトウェアを提供し、スマートシティを推進しています。

街灯をセンサーネットワークに変えることで、必要な時にだけ電力を使う仕組みを作り、街全体の電力消費を抑えるだけではなく、事故、犯罪が多い地域では明るさを強くするなどセキュリティも高めることもできます。今後10年間で世界の街灯の42%に当たる315 Millionの街灯がネットワークに繋がると言われており、6950億の投資が予測されています。CIMCON Lightningは、すでに16カ国以上、50の都市で導入されています。

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4. Tulip Interfaces

ラウンド:Series A
調達金額:$13M (Total $13M in 1 Round)
投資者 : New Enterprise Associates , Pitango Venture Capital
設立 : 2014年
本社:Somerville , Massachusetts

MITのスピンアウトであるTulipは、産業用IoTと高度な分析機能を、そのアプリケーションプラットフォームを通じて提供します。

工場フロアの自動化とロボット工学は引き続き成長しているにもかかわらず、製造業の従業員の雇用はそれに追いつけていません。したがって、製造業者は生産性を上げるために、直感的に操作可能なデジタルツールを探していました。

Tulipは製造業をターゲットにしており、生産現場の既存機器につけるだけでIoTデバイス化できるIoT Gateway、ユーザー独自のアプリケーションを作れるアプリケーションプラットフォーム、解析ツールをセットで提供しています。Tulipのプラットフォームを活用することでユーザーは簡易にIIoTソリューションを導入することが可能となります。

 

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この記事を書いた人

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Yukiharu Matsugu

2016年4月よりNissho USAに着任。屋外ネットワークとコンピューティングが得意。ITがワークスタイルを変革できると信じて日々最新情報を収集中。サッカーと将棋が好き。

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