キーノートの冒頭、CEOのEric Yuan氏は、AIをより多くのユーザーに利用してもらいたいと述べ、Zoom AI Companionを追加費用無しで利用可能にすることを発表しました。これにより、ユーザーは現在利用している費用だけでZoom AI Companionを利用することができます。
ZoomはAIに対して独自のアプローチを取っており、Zoom独自のAIモデルとサードパーティのAIモデル(OpenAIやAnthropicなど)を組み合わせたり、使い分けたりして、各社の強みを活かしています。
また、Zoomはプライバシー保護に力を入れており、ユーザーコンテンツやデータはAIモデルのトレーニングに使用しないことを説明しました。
Zoomは、プラットフォーム上の多くのサービスでAIを活用すると発表しました。現在では、Meetingsのチャット、Team Chat、White Board、Recording、Events、Zoom Rooms、ContactCenterなど、さまざまなサービスで利用が可能です。いくつかのサービスをご紹介します。
新しく導入されたAIのツールバーにプロンプトを打ち込むと、その内容に基づいて付箋や表などの形式でアイディアを自動で作成してくれます。
チャットの会話の要約や返信の内容を自動で作成してくれます。
ミーティングに途中で参加しても、AIがミーティングの内容を教えてくれてキャッチアップすることができます。
会議の議事録を自動で作成してくれます。
AIを活用して、イベントの自動設定やイベント招待状やセッションの文言の自動生成、 質問回答の支援を行ってくれます。
録画されたミーティングのNext Actionが表示されます。
Zoomは、新たにAIを活用したコラボレーションワークスペース「Zoom Docs」を発表しました。Zoom Docsは、ドキュメントやWikiの作成、タスクの割り当て、作業管理など、さまざまな用途に使用できます。
Zoom Docsでは、コンテンツのブロックやテキスト、表、画像をドラッグアンドドロップで簡単に編集できます。また、Zoom Meetingsの内容をドキュメントにシームレスに追加したり、AIが文章を要約したり構成や内容を作成してくれたりと、作業を効率化できる機能が充実しています。
さらに、@メンションでユーザーにタスクを割り当てたり、メッセージを追加したり、複数人での共同作業も可能です。 Zoom Docsは2024年にリリース予定です。
プロンプトの内容に応じて、AIが自動的に文章の骨子や内容を作成してくれる。
ミーティングの内容をシームレスにドキュメントに組み込むことができる。
Zoom Docsで共同作業をしている様子
Zoomは、AIを活用した新たな機能を積極的に展開していることが印象的でした。
特に、ホワイトボードやDocsなど、各サービスの特性に合わせてAIを組み込むことで、ユーザーの利便性を向上させている点が評価できます。
また、OpenAIやAnthropic、独自のAIモデルなどを使い分けるアプローチは、サービスの特性やAIの用途に応じて最適なサービスを提供し、よりパフォーマンス高くAIを活用することができる点で、今後のSaaSベンダーのAI活用のスタンダードになっていく可能性を秘めていると思います。
一方で、新たな機能の拡充やAIの組み込みにより、ユーザーの使いこなしが難しくなる可能性もあります。そのため、ベンダーがユーザーに対してしっかりとサポートをしていくことも必要になると感じました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Nissho USAは、シリコンバレーで35年以上にわたり活動し、米国での最新のDX事例の紹介や、斬新なスタートアップの発掘並びに日本企業とのマッチングサービスを提供しています。紹介した事例を詳しく知りたい方や、スタートアップ企業との協業をご希望の方はお気軽にお問い合わせください
2023年6月7日~8日に、当社のパートナーJuniper Networks社が主催する「AI in Action 2023」に参加してきました。開催されたのは2021年11月から数えて3度目です。
イベントで実感したのは、AIでネットワーク運用を変革する時代が来たのだということでした。今回は、イベントで語られたAIネットワークの発展やJuniper Networksの取り組みのポイントを箇条書きで紹介していきます。詳しい内容をご希望の方はぜひお気軽にお問い合わせください。
企業が最大の成果を出す上で、従業員がストレス・ムダなく業務が行える環境を提供することは必要不可欠です。そのためにはITにおいて人依存を限定し、リアルタイムに課題解決ができる環境を作る必要があります。さらに企業のデジタル戦略において、開発・データサイエンス・サポートチームがデータを中心とした施策を打つことも欠かせません。
本イベントでは、Juniperがそうした体制や文化、そしてプラットフォームを構築して企業のIT変革を促す先駆者だということをよく理解できたと共に、AIがすでにネットワーク業界で使われ始め、発展フェーズに入っていることに感銘を受けました。
AI技術の活用領域は広く、期待先行で進んでいく傾向がありますが、目標・戦略を明確に定めて着実に進めていくことが重要です。我々も今後の取り組みにおいて意識していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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Day1はZoom CEOのエリック・ユアン氏によるキーノートで幕を開け、Zoom CPO(Chief Product Officer)のオディッド・ガル氏による新機能発表など盛りだくさんの内容でした。
本記事では今回発表されたZoom新機能の要点を紹介していきます。
Zoom CPOのオディッド・ガル氏がプレゼン冒頭に発表したのが、Zoomの新しいコンセプト「Zoom One」です。Zoom OneではZoomプラットフォーム上でコミュニケーションが完結できるよう、従来のウェブ会議機能やチャット機能に加えてメール、カレンダー、通話機能などをZoomのプラットフォーム上で全て提供します。
ここからZoom Oneを実現する上でキーとなる新たな機能について解説していきます。
*今回発表された新機能の多くは2023年Q1〜Q2にリリースが予定されています。
Outlookなど多くの人が利用している代表的なメールツールをZoomのプラットフォーム上で利用できる統合機能です。メール閲覧や送信などの操作もZoomプラットフォーム上で行えます。
新たにカレンダー機能がZoomプラットフォーム上に統合されるだけではなく、Calendlyのようにスケジュール調整を提案する側が都合の良いスロットをいくつか設定してURLを発行し、そのURLから参加者が都合の良い枠を選ぶという機能も実装されます。
また、カレンダー上で予定されたミーティングには、レコーディングデータなども紐づけられる予定です。そのため、ミーティングに参加できなかった場合でも、カレンダーから対象のミーティングを選択するとレコーディングデータにアクセスできるようになり、データを探す手間が省けて生産性向上が期待されます。
関連記事:【SaaStr Annual 2022速報】新たなトレンドキーワード「RevOps」
これまでZoomには、ミーティング中にチャットできる機能と、普段のコミュニケーションに使えるチャット機能の2種類がありました。しかしそれらは互いに連携していなかったため、Zoomミーティング中にやり取りしたチャットの内容は、レコーディングデータでしか確認できませんでした。
今回発表されたチャットの連携機能では、Zoom ミーティング中にやり取りしたチャットの内容も、普段のコミュニケーションで使うチャットに引き継がれるため、レコーディングデータにアクセスする必要なく簡単に確認できるようになります。
関連記事:チャットツールを統合するMioに注目!Enterprise Connect 2021アワード受賞スタートアップ
リモートワークの浸透でオフィスでばったり顔を合わせて立ち話をするというような偶発的なコミュニケーションが減りつつある中、Spotsはオンラインでありながら立ち話をするような体験を実現します。メンバーはSpots上で行われている会話に自由に参加できるほか、チャットをするような感覚で会話を開始することも可能です。この機能により、リモートでもオフィスで行われるようなコミュニケーションの実現が期待されます。
関連記事:オフィスでの立ち話をオンラインで実現するLoop Team
ZoomだけではなくMicrosoft Teamsなど他のウェブ会議ツールを使う人も多い中、それらのツールと連携できる機能も発表されました。サポート予定のツールはMicrosft Teams、Google Meet、Webexで、これらのツールからZoomミーティングにアクセスできるようになります。
言語の壁を取り除いて世界中の人々とのコミュニケーションを加速させるべく、リアルタイム翻訳機能が更にパワーアップします。既にサポートしている英語や日本語など12ヶ国語に加えて、新たにヒンディー語など16ヶ国語にも対応する予定です。
Zoom上で自分のアバターを作成し、そのアバターでミーティングに参加できるようになります。これまで顔出しを控えたい場合は音声のみで会話していたのが、今後はアバターを通して表情の変化を見てもらえるため、会話がよりスムーズになるでしょう。
Zoomのレコーディングデータを簡単に編集して共有できる機能です。これまでもレコーディングデータの編集機能はありましたが、あまり使い勝手が良いとは言えませんでした。これがより使い勝手の良い機能へと進化し、ミーティングの重要な部分のビデオクリップをサクッと作成して共有できるようになる予定です。
関連記事:Zoomミーティングのビデオクリップが簡単に作成できる Grain
オンライン上で営業活動を行うケースも増えた中で、その営業パーソンのトークを分析してアドバイスをする機能です。商談後に話す速さをもう少しゆっくりした方が良い、聞く割合を増やした方が良い等のアドバイスを提供します。
コールセンターでチャット等でユーザー対応をする際に、ユーザーが求めている内容をAIが認識してすばやく返答するバーチャルエージェント機能が発表されました。裏で動いているキーとなるAIは、昨年Zoomが買収したカスタマーサポートツールSolvvyのテクノロジーを活用しています。
2019年にリリースされたZoom Phoneではネット環境が途切れても会話を続けられる機能や、電話した内容のサマリをTeam Chatへ共有する機能などが実装され、より便利になります。
これまでこのブログではZoomのビデオクリップを簡単に作成できるGrainやオフィスにいる時のような偶発的なコミュニケーションを実現するLoop Teamなど、Zoomに不足している機能を補ってリモートワークをスムーズにするスタートアップに注目してきましたが、今回発表された内容にはそうした機能がほぼ全て網羅されており、2019年に初めてZoomtopiaに参加して以来最もインパクトを感じたイベントでした。
カレンダーの調整ツール、レコーディングの編集など現在はそれぞれサブスクリプションで契約しているツールがZoomの新機能で利用できるようになれば、生産性の向上はもちろんコスト削減も期待できそうです。実際に利用してみなければわからない部分は多々ありますが、Zoomプラットフォーム上で全てのコミュニケーションが完結する未来は近いかもしれません。
また今回3年ぶりにリアル会場での開催ということもあり、個人的なテーマとして「ネットワーキング」を意識しました。会場中で色々と人に声をかけていると、昨年Zoomが買収したSolvvyのCEOであるMahesh Ram氏と知り合うことができました。バーチャルでの参加だとこのような出会いはなかなか難しく、改めてリアルの価値を認識したイベントとなりました。
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今年も例年同様に、予選を勝ち抜いた20社が10月18日と19日に6分間のピッチと6分間のQAを行った後、ファイナルに残ったスタートアップが最終日の20日に再度ピッチを行い優勝者が選ばれました。そのなかから、今回は1日目のピッチに登場したGPT-3を活用した注目のスタートアップOmnekyを紹介します。
関連記事:【TechCrunch Disrupt 2021】スタートアップバトルフィールド出場スタートアップ紹介!
Omnekyは2018年に千住光氏がサンフランシスコで設立したスタートアップで、文章生成言語モデルのGPT-3を活用した広告を展開しています(GPT-3について詳しくはこちらの記事で解説しています)。
この数年でGPT-3を活用したスタートアップは数多く誕生したものの、まだPMF(プロダクトマーケットフィット)前のものが多いように見受けられるなか、Omnekyは既に多くのユーザーを獲得し、年間売上も約$2M(約3億円)を達成するなど急成長しています。さらに注目すべきはアーリーステージに特化したベンチャーキャピタルファンドのVillage Globalから投資を受けている点です。このファンドにはJeff BezosやMark Zuckerbergなどが個人で出資しています。
ここからはOmnekyが提供するサービスについて詳しく見ていきましょう。
関連記事:文章生成言語モデルGPT3を活用するスタートアップ5社
Omnekyは世界中のウェブサイト、ソーシャルメディアなどから広告データを収集し、広告のターゲットユーザーに対して最適な内容や文章の長さ、効果的な色などを学習します。
Omneky上で作りたい広告のサービスやプロダクトのデータを読み込ませるだけで、複数のクリエイティブな広告が自動生成されます。この広告にはOmnekyの分析機能が学習し続けているデータが反映されています。
作成されたアイデアの中から気に入ったものがあればそのまま利用できるほか、手を加えたい場合は箇所を指定すればその部分を修正した別のアイデアが提案されます。納得がいく広告が出来上がったら承認ボタンを押して完成です。出来上がった広告はGoogleやFacebookなど複数のプラットフォームに発信することができます。
発信した広告はリアルタイムで分析することが可能です。またより高いパフォーマンスを出せるよう、その分析結果に沿って広告内容を修正できる機能も備えています。
ピッチの最後には、GPT-3を活用した他スタートアップとの比較が説明されました。以前の記事で紹介したCopy.AIやJasperは、GPT-3が得意とする文章自動生成に特化しているため、商品のキャッチコピーや記の生成以外のことができません。その一方で、OmnekyはGPT-3の特性を活かしつつ、配信から分析まで行える広告のプラットフォームとして提供しています。
私がOmnekyを面白いと感じたのはGPT-3というテクノロジーを最大限使いこなしている点です。GPT-3自体は以前から注目していたテクノロジーであり、それらを活用したスタートアップも多数存在しているものの、ビジネスとして成功しそうなモデルがなかなか見つからないなというのがこの1〜2年でした。そんな中で、OmnekyはGPT-3の特性を活かしつつ、プラットフォーム化して提供している点がビジネスモデルとして有望だと感じました。
またピッチを聞いた時は意識していなかったのですが、詳しく調べていく中で創業者が日本人だと知りました。アメリカで起業し、Disruptの場で堂々とピッチしている姿に胸が熱くなり、自分もより大きなチャレンジをしなければという前向きな気持ちにさせられました。
関連記事:【Montgomery Summit速報】AIモデル自動生成とリスキリングのスタートアップに注目!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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その中で最も印象的だったのは、スケジュール調整ツールCalendlyでCRO(Chef Revenue Officer)を務めるKate Ahlering氏のセッションで出てきたRevOps(Revenue Operetion:レベニューオペレーション)というキーワードです。本記事で詳しく解説します。
Calendlyは2013年に創業したアメリカのスタートアップで、スケジュール調整を効率化するツールを提供しています。2022年9月時点でシリーズB、$350.6M(約437億円)の資金調達に成功し、評価額$3B(約4,050億円)のユニコーン企業です。
使い方は、スケジュール調整を提案する側が都合の良いスロットを選んでURLを発行し、そのURLから参加者が都合の良いスロットを選ぶだけです。日程が決まったらCalendlyと連携済みのGoogleカレンダーやOutlook予定表などのツールに日程が自動で登録されるほか、Zoomなどのウェブ会議ツールと連携しておけばZoom Meeting IDなども自動発行されます。
これにより、メールで候補日を送り相手側からの返信を待つなどの手間が省け、スムーズに日程調整を行えるようになりました。
ここからはCalendlyのCRO、Kate Ahlering氏が語るRevOpsの要点を紹介します。
多くのSaaSスタートアップでは、プロダクト主導で事業を拡大するPLG(Product-Led Growth)戦略が主流です。今では仕事で欠かせないZoomもPLGで一気に成長を加速させた代表的なスタートアップです。
Calendlyも創業以来PLG戦略を採用してきた1社ですが、多様化するユーザーニーズへの対応や更なる成長を見据え、営業主導で事業を拡大していくSLG(Sales-Led Growth)戦略を新たに取り入れました。
ここでネックになるのが、2つの戦略を実行する組織が複雑になる点です。
というのも、PLGとSLGではマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスなど各チーム毎に異なる目標やKPIの設定が必要になるからです。さらにチーム数の増加に伴って組織間の連携がしづらくなり、最終的にプロダクトやユーザー体験に影響を与える恐れもあります。
そのような問題の解決策として、同社では組織連携を強化して複雑化した組織の無駄を省き、組織の収益性を高める新たなポジションが必要という考えに至りました。それこそがRevOpsであり、そのミッションは収益の最大化です。
Kate Ahlering氏によると、RevOpsを実現するうえで重要なポイントは3つあります。
B2BマーケティングのSiriusDecisions(2018年にForrester Researchが買収)によると、社内の組織間で方向性を統一できている企業は成長率と収益性が高いことがわかっています。
方向性を統一するには、まずエグゼクティブレベルで各組織のゴールやKPIを共有し意識し合うことが重要です。Calendlyではセールスチームの達成目標であるARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)、マーケティングチームのKPIであるMQL(Marketing Qualified Lead:見込み顧客)などを組織全体に共有しているそうです。
さらにエグゼクティブレベルでそれらKPIなどの定義に対する認識を揃えて、SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)を作ります。例えばMQLに対してセールスが2営業日以内ににフォローアップするなどの基準を設けるのも、ここで言うSLAにあてはまります。
RevOpsを実行していくエンジンは4つあります。
RevOpsを実行する担当者は、各組織と連携してこれら4つの機能を提供していくことが求められます。
RevOpsの目的である収益の最大化を実現するためには、目標やKPIの達成度からプロダクトやサービスの提供価値や顧客満足度が向上しているか判断し、必要に応じて改善策を実行していくことが重要です。
多くの企業はQBR(Quarterly Business Review:四半期ビジネスレビュー)で目標に対する進捗状況などを確認する場合が多い一方で、RevOps担当者はこまめに改善を繰り返していきます。
最後にRevOpsは収益の最大化を実現するドライバーになるという力強いメッセージでセッションは締めくくられ、会場は拍手喝采でした。
私がRevOpsに注目した理由は2点あります。
1点目はRevOpsの考え方はSaaS企業だけでなく日本の企業にも必要なものだと感じたからです。収益の最大化と聞いて私の頭にパッと思い浮かんだのは残業代削減などのコストカットですが、Kate Ahlering氏が語るRevOpsは組織間の連携を強めユーザーにより良いサービスを提供することで結果的に収益を最大化するという根本的に異なる発想でした。この考え方は業種問わず必要なマインドではないでしょうか。
2点目はRevOpsを実現するスタートアップが今後誕生してくると考えられるからです。Kate Ahlering氏のようにノウハウを持ち合わせている人は特別なツールを利用しなくともRevOpsを実行できますが、多くの人には困難でしょう。カスタマーサクセスが流行り始めた時にGainSightのようなカスタマーサービスプラットフォームが誕生したように、私はこの数年でRevOpsに特化した新たなスタートアップが誕生してくると予想しています。
RevOpsの考えを自社で取り入れるのはもちろん、自社で培ったノウハウと共に新たなスタートアップのテクノロジーを提供するという新たなビジネスが生まれるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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本記事ではホストであるMarch Capital、Montgomery Summitについて、そして本イベントに登場したスタートアップの中から日本でも受け入れられそうな2社をピックアップしてお届けします。
March Capitalはカリフォルニア州サンタモニカに拠点を置くベンチャーキャピタルで、2022年5月時点で7つのファンドを組成しています。資金の合計は$1.8B(約2,250億円)で、投資対象はアーリーからレイターまで幅広く、領域もセキュリティやAIなどのテック系から産業特化系まで多岐にわたります。代表的なエグジット例としては、2019年にIPOをしたサイバーセキュリティのCroudStrike、VMwareに買収されたSD-WANのVeloCloud、そのほかユニコーン企業のBIツールを提供するThoughtSpotなどがあります。
Montgomery Summitでは、March Capitalが出資するスタートアップによるピッチや対談などのセッションが数多く用意されています。しかしこのイベントのメインは個別商談です。イベントには資金調達を考えるスタートアップやより良い投資機会を求める投資家が集まるため、個別商談のテーブルは常に満席という状態です。
個別商談をしたい時は、専用のアプリから商談相手へ依頼を出します。相手がそれを受け入れると商談テーブルが自動的にアサインされ、商談時間にそのテーブルに行けば会えるという仕組みです。スタートアップ側と投資家側の両方、さらには新たな人脈作りを目的としている人にとってはとても魅力的なイベントです。日系企業からはJCB、NTTData、NECなど、ベイエリアを拠点に活動している駐在員の方々も参加をしていました。
今回はそんなMontgomery Summitに登場したスタートアップを2社紹介したいと思います。
SparkCognitionはテキサス州オースティンを拠点とするAIモデル自動生成ツールのスタートアップです。March CapitalがシリーズCラウンドとDラウンドにおいてリードで投資しているほか、米国大手通信キャリアであるVerizonや大手航空会社Boeingなども出資しています。今回のMontgomery SummitではSparkCognitionのFounder&CEOであるAmir Husain氏とMarch CapitalのManaging PartnerであるSumant Mandal氏の対談があり、各業界へのユースケースなどの話で注目を集めていました。
SparkCognitionが提供するツールは、AIを活用するためのステップであるデータ加工、特徴抽出、AIモデル自動生成、評価、精度向上の一連のサイクルをカバーしています。同社の強みは、AI活用の最も重要な要素であるAIモデルの自動生成部分を独自で開発し、その技術特許を保有している点です。
従来はデータサイエンティストがユーザーの要望に合わせたAIモデルを構築するのに数ヶ月から数年かかっていましたが、SparkCognitionを利用すればそれが数日から数週間に短縮されるだけでなく、精度の向上も期待できます。
SparkCognitionはAIに学習させるための十分なデータがあれば業界問わず活用が期待できる汎用型AIであるため、日本市場でも利用できるケースが多そうです。
SkyHiveは2017年に創業しカナダのバンクーバーを拠点とスタートアップで、リスキリングプラットフォームを提供しています。SkyHiveが提供するプラットフォームの活用方法は大きく分けて次の2ステップです。
1.従業員のスキル可視化
各企業の人事システムと連携するほか、履歴書などからデータを集めて、従業員の現時点でのスキルを可視化します。
2.パーソナライズされたリスキリングのプラン作成
ステップ1で可視化した従業員のスキルと将来的に必要となるスキルのギャップを可視化し、従業員ごとに今後のキャリアプランを提案します。それにより、例えばソフトウェアエンジニアであれば、中長期的なキャリアプランとしてマシーンラーニングエンジニアやCTOなどのキャリアパスがあるとわかるため、現在のスキルが将来的に不要になる、または価値が下がるのではという漠然とした不安を解消できます。
またテック人材が不足気味で採用も困難な昨今、人事部がSkyHiveのようなツールを導入して従業員の長期キャリアを支援すれば、離職防止の効果も期待できそうです。
このイベントに参加したのは今回が初めてでしたが、個別商談の場を設けやすい点がとても魅力的だったと感じます。実際、私自身もイベント開催中に6つの個別商談を実施できたのですが、その一方で5つの商談依頼は受け入れられず残念な思いをしました。人気のスタートアップCEOや投資家はすぐに予定が埋まってしまうほか、商談スペースが埋まっていて商談できないパターンなどもあったため、前日や当日の依頼だと遅かったのかもしれません。次回は数週間から前から商談依頼を投げる必要がありそうです。
また印象的だったのは夜の懇親会で出された食事はどれもヘルシーな食べ物ばかりで、アメリカでよくありがちなピザなどの食べ物は全く用意されていませんでした。この点も普段とは違う世界観を楽しめた一方、少し物足りなさもありました。
日本企業で事業開発をミッションとして活動している方にもおすすめのイベントですので、もう少し深く知りたいという方はぜひお気軽にご連絡ください。
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The post 【Montgomery Summit速報】AIモデル自動生成とリスキリングのスタートアップに注目! first appeared on Nissho Electronics USA Corporation.]]>2019年に設立された同社は2年強でARR100Mを達成した後、2022年3月にはFounders FundのリードによりシリーズCで$200Mの調達に成功しました。現在の評価額は$8.1B(約9,700億円)でり、世界中から注目を集めているスタートアップです。本記事ではそんなRampについての注目ポイントを紹介していきたいと思います。
Rampは2019年にEric Glyman氏とKarim Atiyeh氏によりニューヨークで設立された法人カードのスタートアップです。創業者の2人はシリアルアントレプレナー(連続起業家)で過去3回のExit経験があります。そのうちの1社が、オンラインで購入した商品の価格が下がった際に自動で返金するサービスのParibusです。2人は同社を大手金融機関のCapital Oneに売却したことで高い評価を得ました。
法人クレジットカードのスタートアップと聞いてBrexを思い浮かべる人は多いでしょう。Brexはスタートアップの成長を助けるというコンセプトのもと、従来の与信基準を変えて素早くカードを発行したり、ZoomやWeWorkなどよく利用されるサービスのディスカウント特典を付けたりするなどして急成長を遂げました。一方、Rampは企業の支出を抑えるという違った切り口を売りにしています。
Rampの特徴は、法人カードの提供にとどまらず経費管理プラットフォーム機能を備えている点です。そこでは経費を可視化するだけでなく、独自のアルゴリズムを用いて顧客との取引履歴を分析し、経費削減のための提案を行います。
また2022年2月にはRamp for Travelという従業員の出張をサポートする新機能をリリースしました。この機能は会社が規定する支払上限などを設定できるため、従業員が規定額を超過するのを避けられます。それだけでなく領収書をすぐにアップロードできる仕組みもあるため、従業員が経費精算に費やす時間も削減できます。
さらに2021年8月に買収したNegotiation-as-a-Service(サービスとしての交渉)のBuyerと連携することで、値引きできる可能性のある支払先との価格交渉を代行し、企業の支出を抑えるサービスも提供しています。
私が注目したのはNegotiation-as-a-Serviceを提供するBuyerの機能です。私が日本で働いていた頃、エンジニアが利用サービスの価格交渉まで行うために本業(サービス開発)になかなか専念できないという話を聞いたことがあります。購買部ではなく事業部門が直接価格交渉を行う企業にとって、こうした価格交渉の代行サービスは受け入れられそうです。
さらにこうした価格交渉代行の効果は私自身が体験しています。以前の記事で紹介したサブスクリプション管理アプリをB2Cで提供するTrubillでも同じように価格交渉を代行するサービスを提供しており、実際に私が契約していたインターネット回線サービスComcastへの支払いを削減することができました。自分では気付かなかった値引きポイントを教えてくれたうえ、価格交渉までしてくれたのはとても便利だったこともあり、現在でもTrubillを利用しています。
Buyerの機能を使うとB2B領域でも同じような効果が期待できるうえ、削減できる金額はB2C領域よりも大きくなるに違いありません。今までにない新たな付加価値サービスを提供するRampは日本でも受け入れられるのではないでしょうか。
関連記事:価格交渉まで代行してくれるサブスクリプション管理アプリTrubill
設立年 | 2019年 |
---|---|
所在地 | 米国ニューヨーク |
従業員 | 251-500名 |
チーム | Eric Glyman(Co-Founder & CEO)、Karim Atiyeh(Co-Founder & CTO) |
資金調達 | $1.4B(約1,680億円) |
VC | Founders Found、Apple、Stripeなど |
URL | https://ramp.com/ |
※crunchbaseデータベース参照
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今回分類された3つの働き方にはそれぞれ一長一短がありますが、いずれにおいても重要なのが社内コミュニケーションです。そこで、今回は社内コミュニケーションに特化したプラットフォームを提供するStaffbaseを紹介します。
Staffbaseは社内コミュニケーション特化型のプラットフォームを提供する企業で、2014年にドイツで設立されました。2022年3月にシリーズEラウンドで€106M(約143億円)の資金調達に成功し、評価額が$1.1B(約1,350億円)となった注目のユニコーン企業です。コロナ禍でリモートワークが進んだ中で一気に成長を加速させ、顧客にはグローバルロジスティクスのDHLやadidasなど大手企業を抱えています。
同社の成長を支える主要機能は、ノーコードで様々なデザインのメールを作成できる「Employee Email」、社内のイントラネットをプログラミングなしで自由に作成できる「Front Door Intranet」、Microsoft O365と連携する機能「SharePoint and Teams」、自社独自のスマホアプリ機能を作成できる「Employee App」の4つです。
ここからは各機能を詳しく見ていきましょう。
Employee Emailはプログラミングを必要とせず、ドラックアンドドロップの操作で様々なデザインのニュースレターなどを作成できる機能です。たとえば社内向けにイベントのアナウンスを行う際は、従業員の興味を惹くデザインのメールを簡単に作成できるため、従業員のエンゲージメント向上が期待できます。そのほか、対象者を分類して配信する機能やメールを開封した従業員などのデータを分析できる機能も備えています。詳しくはこちらから。
こちらは会社のイントラネットをノーコードで作成できる機能です。その特徴は休暇申請や業務情報の発信など、企業運営に必要な機能を実装できる点です。一見特別ではないように思えますが、実は多くの企業ではイントラネット上でそうした機能にアクセスするために別のサービスを利用するケースが多いため、1つのサービスで完結するのは管理者にとって魅力的です。また各機能に分析機能も付いていることから、管理者側は取得したデータを活用して様々な角度からユーザー動向を分析することができます。詳しくはこちらから。
既に多くの企業がO365を利用している中、StaffbaseではMicrosoft O365で提供されるSharePoint、Teams、Vivaなどの機能と連携できることを強みとしています。Front Door Intranetで作成されたイントラネットからO365とノーコードで連携でき、ワンクリックでストレスなくO365にアクセスすることが可能です。提供される機能を細かく見ていくとO365と重なる部分も多く、ユースケースによっては競合となる場合もありますが、基本的にはお互いの足りない機能を補完し合い、より良い社内コミュニケーションプラットフォームを構築するパートナーという位置づけです。詳しくはこちらから。
自社独自のモバイルアプリを作成できる機能です。このモバイルアプリ内で、Front Door Intranetで作成されたイントラネットにアクセスしたり、Employee Emailで従業員に発信したりできるほか、SharePoint and Teamsなどの機能の利用も可能です。アプリのロゴも自社ロゴなど自由に選択でき、自社オリジナルアプリとして利用できます。詳しくはこちらから。
私がStaffbaseに興味を惹かれたのは、社内で拠点をまたぐコミュニケーションを活性化するきっかけになると感じたからです。私は普段ベイエリアの最新情報を日本側の従業員に発信していますが、以前よりその内容に対する反応をもっと知りたいと考えていました。Staffbaseを使うことで、イントラネット上での発信が簡単になったり、テキストのメールから洗練されたデザインのメールを作成できたりと効果的な情報共有がより手軽になるだけでなく、それを分析して誰が読んでくれているかが分かれば日本側の従業員と新たな接点が生まれそうです。
また日本では大小様々な企業で既にO365を利用していることから、O365との連携ができる点は広く受け入れられるでしょう。
設立年 | 2014年 |
---|---|
所在地 | ドイツ |
従業員 | 501-1000名 |
チーム | Frank Wolf(President & Co-Founder) |
資金調達 | $307.1M(約368億円)シリーズE |
VC | General Atlantic、Insight Partnersなど |
URL | https://staffbase.com/en/ |
※crunchbaseデータベース参照
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関連記事:チャットツールを統合するMioに注目!Enterprise Connect 2021アワード受賞スタートアップ
今年のEnterprise Connect 2022優秀賞アワードに輝いたのはクラウド型コンタクトセンターソリューションを提供するujet.cxです。
昨今様々なサービスがサブスクリプションで提供されていますが、そのサービスベンダーが最も大切にしている指標の1つがチャーンレート(解約率)です。チャーンを防ぐためには様々な施策が必要であり、なかでもカスタマーサポートの役割はとても重要です。
ujet.cxが提供するクラウド側コンタクトセンターを使うと、サポート部門はカスタマーと電話・画像の送信・SNSなど様々な方法でコミュニケーションできるようになります。さらに多くの企業が利用するSalesforceやZendeskなどのシステムと連携でき、データをリアルタイムで一元管理することも可能です。
実際にコロナ禍で一気に成長を加速させた買い物代行サービスInstacartなどの大手企業が、既にujet.cxのサービスを活用してカスタマーサポートを強化しています。
カスタマーエクスペリエンスのベストイノベーション部門では、オンラインミーティングでデジタルID認証機能を提供するJourneyが受賞しました。
活用が期待されるのは、リモートでの受験や採用面談時に参加者本人証明が必要な場面です。本人が運転免許証をカメラにかざすと、JourneyのOCR(光学文字認識)機能がそれを読み取って本人の顔と照合します。そのほか、本人以外の人物がカメラで認識された場合はログアウトするなど、オンラインミーティングのセキュリティ強化につながる機能を備えています。
最も革新的な人工知能活用の最優秀事例に選ばれたのは、リモート従業員のオンラインミーティング環境のパフォーマンスを分析するVirsaeです。
在宅勤務時にMicrosoft Teamsなどを使ってオンラインミーティングをしていると、フリーズしたり声が途切れたりしてしまうことはよくあります。しかしその原因が自宅のインターネット環境なのか、Teams側にあるのか、またはそれ以外に何かしら原因があるかなど原因究明できずなんとなく放置している企業が多いのではないでしょうか。
Virsaeが提供する分析プラットフォームはエンドツーエンドでオンラインミーティング全体を把握して分析することで、従業員が常に安定した環境で働けることを実現します。現在はMicrosoft Teams、Cisco、Avayaになどに対応しています。
バーチャルミーティングのベストイノベーション部門ではオンラインミーティングシステムを提供するBlueJeans Networkがアワードを獲得しました。同社は2020年に米通信大手Verisonに買収された後、B2B向け製品Verizon Businessのポートフォリオに加わりセキュアな通信を強みとして販売を継続しています。
ミーティングルームのベストイノベーションでアワードに輝いたDTENは、Zoom Roomに必要なコンポーネント(マイク、カメラ、マルチタッチディスプレイ、PC)を1つの筐体にまとめて提供するZoom Room専用デバイスです。
これまでZoom Romを会議室に設置するためには、必要な各コンポーネントを購入して接続しなければならず、時間と手間がかかっていました。DTENが提供するデバイスはZoomRoom用のソフトウェアがプリインストールされているため、10分程度でセットアップが完了してすぐに使用できます。
新型コロナウイルスが収束しRTO(Ruturn To Office)を検討し始めている企業は多い中、従業員がオフィスに戻った後により働きやすい環境を整えるため、会議室にZoom Roomを設置するという需要は今後高まるかもしれません。
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私が注目したのはオンラインミーティング環境のパフォーマンスを分析するVirsaeです。私は定期的にウェビナーを実施しており、オンラインミーティングの環境を整えることを非常に重視しています。コロナ禍で自宅からウェビナーを配信していた際は、フリーズなどの大きな事故は起こらなかったものの、ほんの少し声が途切れるという事象は何度か発生しました。しかしその原因が分析できないため、何を改善するべきかも分からないという状況が続いており現在に至っています。私のようにオンラインミーティングの環境に何かしらの問題を抱えている人は少なくないでしょう。
コロナが収束した後も在宅勤務を継続する人は一定数いると予想される中、このようなプラットフォームのニーズはありそうです。
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Nissho USAは、シリコンバレーで35年以上にわたり活動し、米国での最新のDX事例の紹介や、斬新なスタートアップの発掘並びに日本企業とのマッチングサービスを提供しています。紹介した事例を詳しく知りたい方や、スタートアップ企業との協業をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
AWE2021のBest of Collaboration Tool分野でアワードに輝いたのはTvoriです。同社はVR(Virtual Reality)上で、チームメンバーと一緒に様々なデザインやプロトタイプを作れる仮想空間を提供します。新規プロダクト開発などでプロトタイプを作成したい時など、事前に仮想空間上で作成することで関係者のイメージを合わせることが可能となります。
現在対応しているデバイスはOculus Questのみです。ただしTroviの仮想空間上で作成したものはPNGやJPG形式などでエクスポート可能で、Oculus Questを持っていないユーザーにも共有することができます。
Spatialが提供するのはXRを活用したバーチャルオフィスです。参加者の3Dアバターを作成してアバター同士、あるいは人とアバター間のコミュニケーションができるバーチャルオフィスを提供します。
コロナ禍の影響で、バーチャルオフィスはVR・AR(Augmented Reality)技術を活用した事例でよくある活用シーンの1つです。中でもSpatialが特徴的なのは、クロスデバイス(異なるデバイス間)に対応している点です。MetaのOculus QuestやMicrosoftのHololensなど、人によって保有しているデバイスが異なるケースに対応できるだけでなく、そもそもVRやARのデバイスを持っていない人でもPCからSpatialが提供するバーチャルオフィスに参加することができます。
2022年2月にオンラインホワイトボードのMiroが日本市場に本格参入ということで注目を集めましたが、Spatialを使えばMiroが提供するようなオンライン上でのポストイットなどを使ったコミュニケーションも仮想空間で実施することができます。
Withinが提供するのは様々なVRのコンテンツですが、代表的なのはフィットネスゲーム「Supernatural」です。対応デバイスはOculus Questで、その特徴は数十分のエクササイズをゲーム感覚で楽しくできるように設計されている点です。そのプログラムはコントローラーを持って音楽のリズムに合わせて飛んでくるターゲットをたたき落としたり、しゃがんでかわしたりするなど全身を使うものが用意されています。コロナ禍で在宅でのフィットネスが浸透し始めているのを背景に、Metaが買収したことで今後より注目されていくでしょう。
3DLookはユーザーのアバターを作成し、そのアバターでバーチャル試着を行うことでサイズやフィット感を確認できるアプリを提供します。アバターの作成は簡単で、3DLookが開発したモバイル3Dスキャニング技術でスマホのカメラからユーザー正面と横からの写真を撮るだけで完了です。オンライン市場が成長していく中、3DLookによるバーチャル試着で返品率の低下につながることが期待されています。
echo3Dは開発者が高速で3Dゲームやアプリを作れることを目指して、3D・AR・VRコンテンツの保存と配信機能を持つプラットフォームを提供しています。開発者がecno3Dプラットフォームを活用すれば、管理しているコンテンツをスマートフォンやブラウザなど様々なプラットフォームに素早く配信することが可能です。ゲームエンジンUnityの認定ソリューションパートナーに登録されているほか、2021年10月にソースコード管理サービスのGitHubやMetaから出資を受けたことから、メタバース関連や開発関連の企業から注目を集めていることが窺えます。
私がメタバース関連で注目するのは、echo3Dのようなメタバースをバックエンドで支えるインフラストラクチャ関連のスタートアップです。以前の記事で紹介したクラウド企業ランキングでは、決済インフラ機能をAPIで提供するStripeや銀行との接続するためのAPIを提供するPlaidなど、バックエンドでインフラを支えるスタートアップが多く取り上げられていましたが、今後仮想空間上での新たな決済機能などが必要になった際、仮想空間版のStripeやPlaidなどが必要になると考えられます。つまり、メタバース市場の成長はそうしたインフラを支えるサービスの充実に懸かっていると言えるでしょう。今後もメタバース関連を支えるスタートアップには目を離せません。
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