DXを支援する注目スタートアップ 2021.11.18

【Webinar記録】米国の注目スタートアップを紹介! 25分でシリコンバレー・トレンドをサクッとキャッチアップ!

2021年10月、Gartnerは2022年の戦略的テクノロジートレンド予想を発表しました。また同月には、Alchemist Accelerator(以下、Alchemist)がデモ・デーを開催しています。こうしたシリコンバレー・トレンドは、新規事業開発やスタートアップ調査にきっと役立つでしょう。本ウェビナーでは、米国駐在員である日商エレクトロニクスUSA・能任(のと)が、ガートナーの予測解説や、デモ・デーに出場した注目スタートアップ7社をご紹介しました。

TOPIC 1 ガートナーによる2022年戦略的テクノロジートレンド予測を解説

GartnerはIT通信分野で活躍する、世界有数のリサーチ&アドバイザリ企業です。そのGartnerが出した2022年の戦略的テクノロジートレンド予測として、「信頼できる基盤の構築」「変化の創出」「成長の加速」という3大テーマが発表されました。そして、それぞれのテーマごとに4つずつのキーワードも挙げられ、合計12のキーワードが発表されています。今回はそれぞれのテーマとキーワードを、能任が解説しました。

3大テーマ

テーマ1:信頼できる基盤の構築
デジタルを活用したビジネスでは、回復力を備えた効率のよいIT基盤が必要。ビジネスをコストパフォーマンス高くスケールするため。

テーマ2:変化の創出
IT基盤が整った後は、デジタル化の取り組み拡大を後押しするテクノロジーが必要。IT部門だけでは変化に対応することが難しいため、ビジネス部門も巻き込んだ連合チームが必要。

テーマ3:成長の加速
IT基盤と連合チームができた後は、新たに生み出した価値を最大化するテクノロジーの活用が必要。ビジネスとマーケットシェアを勝ち取るため。

さらに、各テーマを実現するうえで重要なテクノロジーを、テーマごとに4つずつ解説しました。

「テーマ1:信頼できる基盤の構築」を実現するテクノロジー4つ

テクノロジー1:データファブリック

アプリやサービス内でサイロ化され活用できていないデータを統合し、必要な場所に必要なデータを利用できるようにする技術です。分析機能がメタデータを読み取り、分析することで、データ管理の工数削減にもつながります。

テクノロジー2:サイバー・セキュリティ・メッシュ

オンプレミスやマルチクラウドなど、場所を問わずにデジタル資産を保護するセキュリティアプローチです。サイバー攻撃の防御が困難になったこと、デジタル資産がクラウドやデータセンターに分散していることなどから、取り入れるべきアプローチといえます。

テクノロジー3:プライバシー保護のためのコンピューティング

エコシステム間でデータを共有しつつ、価値を生み出しながら、プライバシーの保護も実現します。機密性を保ちながらデータを扱うために、データの暗号化や分散を行うこのテクノロジーは、大手テック業界の長年の悩みにアプローチ。トレンドも中長期的に続くと思われます。

テクノロジー4:クラウドネイティブプラットフォーム

クラウドの弾力性と拡張性を生かして、価値を産み出すまでの時間を短縮する基盤です。クラウド前提で作られたこのサービスは、インフラへの依存度が低いため、アプリの機能改善により時間を割けるようになります。

「テーマ2:変化の創出」を実現するテクノロジー4つ

テクノロジー1:コンポーザブル・アプリケーション

サービスを構成する決済機能やチャット機能などを、自社開発ではなくAPIなどで接続して機能実装。市場投入までの時間の短縮を目指したアーキテクチャで作られた、アプリケーションです。スタートアップなどの技術を活用し、さまざまな機能を素早く構築します。

テクノロジー2:ディシジョン・インテリジェンス

フレームワークをもとに意思決定をモデル化することで、意思決定のサポートを行うものです。データ、アナリティクス、AIを統合することで、自動化するディシジョン・インテリジェンスのプラットフォームを構築。意思決定を早め、企業の競争力アップに繋げられます。

テクノロジー3:ハイパーオートメーション

RPA(Robotic Process Automation)などの業務システムの自動化に留まらず、可能な限り多くのビジネス・ITプロセスを素早く特定・分析して自動化していく、事業サイドのITプロセス領域も含むテクノロジーです。ローコード・ノーコード・プロセスマイニングなどのテクノロジーも活用していく必要があります。

テクノロジー4:AIエンジニアリング

AIを活用して価値あるソリューションを提供し続けるため、統合データ・モデル・開発パイプラインを使い、AIモデルを継続して更新し続けるようにする規範のテクノロジーです。自動化されたAIモデルと、その仕組みを理解し運用する組織が組み合うことで、新たな価値を生み出し続けます。

「テーマ3:成長の加速」を実現するテクノロジー4つ

テクノロジー1:分散型エンタープライズ

バーチャルファースト・リモートファーストのアーキテクチャをもとに、消費者とさまざまなタッチポイントで繋がり、より良いエクスペリエンスを提供します。また、リモートワークで働く場所の制約をなくし、どこからでも働ける環境と制度を整えます。

テクノロジー2:トータル・エクスペリエンス

CX(カスタマーエクスペリエンス)、UX(ユーザーエクスペリエンス)、EX(エンプロイーエクスペリエンス)、MX(マルチエクスペリエンス)の各体験を結び付けて強化し、提供。消費者と従業員だけでなく、全てのステークホルダーに対して良い体験を生み出すことを目指します。

テクノロジー3:自律システム

自ら学習する自己管理型の物理的、またはソフトウェアシステムです。自動化システムとは違い、ソフトウェアを更新することなく、自らアルゴリズムを動的に変更することができます。この仕組みにより変化への迅速な対応が可能となり、複雑で大規模な環境にも対応できます。

テクノロジー4:生成型AI

サンプルデータやユーザーからのデータをもとに、学習データと類似性を保ちつつ、オリジナルなものを生成するAIです。AI自身がイノベーションを起こせるこのテクノロジーにより、企業は迅速なイノベーションを起こすことが可能になります。

今回のGartnerの戦略的テクノロジー予想には、意外と目新しい概念はなかったかもしれません。しかし、変化の激しい時代に生き残るためには、CEOやCIOなどの企業の経営層がこのようなテクノロジー予想をしっかりと理解し、経営に反映していくことではないでしょうか。

TOPIC 2 アルケミスト アクセラレーター デモ・デー 注目スタートアップ紹介

Alchemistは、サンフランシスコに拠点を置き、B2B領域にフォーカスしたアクセラレーターです。2017年に『Forbes』が出したアクセラレーターのランキングでは、Yコンビネーターなどと同格の「プラチナム」にランキングされました。10月に開催されたAlchemistのデモ・デーでは、23社のスタートアップが自社サービスをピッチ。今回はその中から、日本でも受け入れられそうな7社をピックアップして解説しました。

1社目:Speechki(スピーチェキ)

自動でオーディオブックを生成するツールです。文章のボリュームにもよりますが、テキストを読ませるだけで、15分程度でオーディオブックを生成してくれます。現在、声の種類は251種類にのぼり、72の言語に対応。日本語にも対応済みとなりますが、声の種類は1種類のみです。

2社目:Gaudium.AI(ガーディアムAI)

ソーシャルメディア特化の文章自動生成ツールです。業界、アナウンスや緊急のお知らせなどのメッセージの趣旨、文章の長さなどを選択し、キーワード(例:ハロウィン)を選択すると、自動的にユニークな文章を生成してくれます。ソーシャルメディアに気軽に発信しやすくなります。

3社目:CodeLock(コーデロック)

マルウェアがソフトウェアに侵入し、悪意のあるコードの追加や変更をしないように保護するセキュリティツールです。コードの全体の位置を把握し、コードを小さな単位に分割してお互いを管理することで、全てのコードを守る仕組みです。DHS(アメリカ国土安全保障省)が、サイバー攻撃から国を守るために効果的なツールとして、使用を推奨しています。

4社目:EngFlow(エンジフロー)

開発スピード向上ツールです。EngFlow社は、Googleが社内開発に使用していた独自のビルドツールをオープンソース化したツール「Bazel(バゼル)」を開発したメンバーで設立されました。EngFlowは「Androidアプリの開発時間を大幅に短縮できた」などのユースケースが公開されています。

5社目:Moodbit(ムードビット)

従業員のエンゲージメントを高めるHRテックです。従業員のメンタルヘルスや健康状態を把握するために、毎週3つの質問を行うほか、Slack上の投稿データを集めて分析。その分析結果を踏まえ、食生活の改善や瞑想など幅広いアドバイスを提供することで、モチベーションや健康の維持をサポートし、従業員のエンゲージメント向上に繋げます。

6社目:OnTrack(オントラック)

高齢者をターゲットとした自宅エクササイズプログラムを提供する、オンラインサービスです。高齢者が転倒して怪我をしないような身体作りにフォーカスし、筋力のバランスを整えるプログラムを提供。AR(拡張現実)の技術を利用し、ユーザーの身体の20ヶ所を認識・追跡することで、取得したデータから改善点をアドバイスする点が特徴的です。

7社目:11Sight(イレブンサイト)

チャットや音声コールなどのオンライン接客を実現するプラットフォームです。ECサイトを訪れた顧客が、チャット、音声コール、ビデオコール、ミーティングのセットアップなど好きな方法を選ぶことで、従業員とやり取りできます。

TOPIC 3 Nissho USA 注目テクノロジー「光トランシーバ」

最後にご紹介したのは、光トランシーバです。光トランシーバとは、ネットワークやサーバなどの機器間を接続する際に欠かせない、ネットワーク基盤のコンポーネントです。今あえて光トランシーバに注目している理由は、コロナ禍にあります。コロナ禍でインターネットやNETFLIXなどの利用者が増加、5GやIoT技術の発展でデータトラフィックが増え、それに伴いデータセンター市場も拡大しています。つまり、光トランシーバ市場の成長も加速しているのです。

現在、主に使われているのは10Gや100G対応の光トランシーバです。今後は400G対応の光トランシーバが必要となり、価格はモデルによっては25~250万円ほど。ネットワーク構成によっては数十~数百本が必要となるため、光トランシーバの購入は大きな投資といえます。この背景を踏まえ、純正品よりも安価かつ、ネットワーク機器との接続を保証する光トランシーバに改めて注目しました。

そこで弊社が注目した光トランシーバの企業は、UKに本社を持つProLabs(プロラボス)です。ProLabsは、Cisco(シスコ)やJuniper(ジュニパー)などのネットワークベンダーと互換性を持った光トランシーバを中心に、DACケーブルなどを提供するサプライヤーです。ProLabsの特徴は高い品質、安心のサポート体制、リーズナブルな価格の3点です。ProLabsの製品は、アメリカの大手通信系企業・Verizon(ベライゾン)やそのほか多くの企業で、すでに採用されています。

Webinar記録は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

Nissho USAは、シリコンバレーで35年以上にわたり活動し、米国での最新のDX事例の紹介や、斬新なスタートアップの発掘並びに日本企業とのマッチングサービスを提供しています。紹介した事例を詳しく知りたい方や、スタートアップ企業との協業をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

この記事を書いた人

Shuichi Noto

2008年にユニアデックス入社。5年間の大手通信キャリア向けの営業を経験した後、日商エレクトロニクスへ入社。大手OTTの情報システム部門向けにVDIやWeb会議などの働き方改革を促進するソリューションの販売に従事。2019年よりNissho USAに赴任。お客様のビジネスを共創&サポートできるようなソリューションの発掘を目指し日々活動中。担当領域はITインフラ全般、ヘルスケア業界、地域創生など。趣味はゴルフとサッカー。

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