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Blog 06/04/2018 Nobuyuki Komatsu

スタートアップの祭典 Collision Conference 2018初潜入 -ピッチファイナリストに見る新トレンド-

こんにちは、Nissho Electronics USAの小松です。

先日、米東海岸のとあるレストランで「きっとこれは差別だな」と感じる経験をしました。どの定員に言ってもいつまで経っても注文をとりにこない、しかし後から来たお客さんはもう食べ始めてるという始末。タイミング良いのか悪いのかお店のマネージャが調子どうよ?と様子を伺いにきたので全力で文句を言いました。そこで店員の態度が激変し、ドリンクやサラダはただでサービスしようとするわ、お会計は結構な金額を値引きされ、謎のVIP招待券は差し出されるわとそんな感じです。マネージャには好感をもて、また是非来てくれと言われましたが、二度と行きません。お店にもよるのでしょうが、アメリカはやっぱり言ったもん勝ちのようです。

さて、今回は、5月上旬に米国南部ニューオリンズで開催されたスタートアップの祭典「Collision Conference 2018」の現地レポートをお届けします。

Collision Conferenceとは?

collision1

まず初めにCollision Conference(以下、Collision)についてご紹介します。

日本人参加者はまだごくわずかなので、読者の多くの方にはまだまだ聞き慣れないカンファレンスかもしれませんが、世界最大級のテックカンファレンス「WEB Summit」北米版として業界では非常に人気のカンファレンスです。といっても、私自身は恥ずかしながらいづれも初耳のカンファレンスでしたので、参加して初めて知りました。

今年で開催5回目を迎えるCollisionは、4日間で参加企業が5000社超、来場者は100ヵ国以上から約25000人超を集客しました。各社トップが講演するセッションも勿論見ものですが、何と言っても主役はスタートアップ企業です。展示会場の約9割を占めるスタートアップ企業は、Growth、Beta、Alphaと成長レベルにあわせて分類されており、約数百社が日替わりで展示を行います。コンセプトだけのシード企業から、自社商品を製品化しいよいよ市場に投入する企業まで様々です。

余談ですが、主催者が政界とのパスが強く、次回開催地であるカナダのジャスティン・トルドー首相のインタビュー出演や、アメリカのアル・ゴア元副大統領のの登壇には少しびっくりしました。

見どころは連日におよぶスタートアップピッチ

collision2ピッチセミファイナル時の様子

Collisionの醍醐味の1つは、連日におよぶスタートアップピッチです。

本カンファレンス前に約70社に絞られたスタートアップ企業が、予選Aグループ、Bグループのように約10個のグループに分けられ、各グループ競争を経て、70社から20社、20社から3社、3社から優勝企業1社という形でピッチが繰り返されます。

登壇企業は、X-Tech(Fintech、Retail Tech、EdTech、Home Tech、Health Tech、HRTech等)盛りだくさん。皆素晴らしい企業ばかりでしたが、1つ納得感があったことは、各社共通して解決すべき課題が細かくとも非常に明確であり、「それは何とかしたいね」と共感できるところから起業が始まっていたことです。例えば、糖尿病対策に絞ったHealth Tech、米国で多発する宅配便盗難を防止するRetail Techや、離婚夫婦の第二の人生を後押しするソリューション等。課題が明確であり、それを解決する新しいアイデアがあり、技術は後からついてくる、そんな印象を受けました。

ファイナリストに選ばれた3つの企業

ここでスタートアップピッチのファイナリスト3社に選ばれた企業をご紹介します。

1. SMB小売り業界の救世主:Selery (Retail Tech)

collision-selery

Seleryは、SMB市場向け物流サービスとして、大手AmazonやShipwireに対抗し、3rd Party Logisticsという考え方を新たに取り入れ、注目を集めました。例えば、JuniperやCisco等が販売する純正ブランドインタフェースではなく、同等機能を提供できる汎用インタフェースを安く提供するようなイメージです。

SMB小売り企業(ここではアパレルやサプリメント、おもちゃメーカがターゲット)の課題は、良い製品をつくってもコストの観点からそれを販売するための販路や環境(例えば、倉庫代や物流、雇用等)をスピーディに用意できず、市場進出機会が大幅に遅れることです。それを解決するのが同社です。実際にAmazonと比較しても約半分のコストで物流機能が確保できます。利用する小売り企業は倉庫代や配送料を月額でSelery社に支払うことで販売土台を確保するというわけです。

2. 在庫の無駄をなくして利益拡大:ShelfEngine (Retail Tech)

collision-ShelfEngine

Seleryと同様に小売り企業をターゲットとしたサービスですが、主にスーパー等が対象です。

Shelfは棚を意味しますので、商品棚にエンジン、つまり脳みそがついたようなイメージであり在庫予測プラットフォームを提供します。従来、店長の経験やバイアスで在庫調達量を決定していましたが、やはり無駄は避けられないというのが現状。それを蓄積データや機械学習等を活用した解析エンジンを利用して最適化し、自動で予測、無駄を最小限におさえるという価値を提供します。

余った在庫はShelfEngine社が買い戻すという仕組みもポイントの1つです。ただし、必ずしも無駄がゼロになるということはありません。機械学習等のデータ分析にも限界があるので、人間の感覚もあわせてうまくプラットフォームとつきあっていくことが求められます。

3. テクノロジーとコーチングの融合:Torch (HR Tech)

collision-torch

Torchは、Technology+Coachingの略だと勝手ながら解釈していますが、コーチとクライアントをマッチングさせるプラットフォームです。いわゆる企業の人事部門向けソリューションであり、HRTechに位置づけられています。コンセプトはHuman(People)+Software+Analyticsということで、日本でもこれから注目を集めていく分野です。

同社はリーダーシップ育成に注力しており、例えば、人事制度で取り入れられるMBO制度のように達成したいゴール設定に基づき、新人課長教育にはこのコーチ、新人部長教育にはこのコーチという形でマッチングさせ、クライアントの成長を指導も含めてモニタリングしていきます。

同社のリサーチによると、新人管理職になりたての4人に1人はそのポジションに就く準備が出来ていないとされています。その課題を解決し、早期にリーダーとしてのパフォーマンスを向上させ、企業としての生産性を最大限に高めようというのが狙いです。

優勝企業に習う働き方改革の新トレンド

collision-HRtech

この3社の中で今回栄えある優勝企業に選ばれたのはTorchでした。実際、展示会場では同じ分野の他スタートアップ企業も目立ってた印象を受けました。日本に限らず、雇用品質や採用品質を高める活動は各国で盛んに行われているようです。「HRTech」は今注目の分野と見ていいでしょう。

HRTechの大きなトレンドとして、上述した「Human(People)+Software+Analytics」の要領で、企業全体の生産性向上という組織向けのプラットフォーム(例えば仮想デスクトップ基盤やWEB会議システム整備等)の利用から、個人や社員をターゲットとしたプラットフォームの提供へと変化しつつあります。

例えば、あるプラットフォームは数カ月単位の個人評価制度ではなく、リアルタイムで個人のパフォーマンスを可視化し評価を継続、会社に対する従業員個人のエンゲージメント向上をサポートします。また別のものでは、個人分析を通じて内在する課題把握や他社員のパフォーマンス向上に役立てるサービスもあります。従来人事部門が利用していたHRツールも同部門向けから、社員やマネージャを対象にした個人向けツールへの移行が進んでいます。

HRTechの発展は今の働き方改革に大きな影響力を持っているように感じます。そういう意味では働き方改革におけるビジネスのアプローチも、組織向けのプラットフォームを提供するシステム部門をターゲットにしたアプローチから、人事部門の先にある個人を巻き込んだアプローチを加えることで今まで以上に活性化するのではと感じました。

おわりに

今回は、当社初潜入のCollison Conferenceに関する寄稿をさせて頂きましたがいかがでしたでしょうか。親分イベントの「WEB Summit」含め、海外のトレンド視察には欠かせないイベントです。スタートアップピッチに限らず、大手企業のトップが登壇するセッションも勿論見ものですので、次回以降ご興味ある皆さまは数名で参加されることをおすすめします。

最後までお読みいただきありがとうございました。Nissho Electronics USAではシリコンバレーから旬な最新情報を提供しています。 こんなことを調べてほしい!などございましたら問い合わせページよりぜひご連絡ください。

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Nobuyuki Komatsu

Nobuyuki Komatsu

2017 年 10 月より Nissho USA 着任。Layer1 から Layer7 まで通信事業者向け製品畑で育ち、得意分野はネットワーク。自称ミーハー且つ物怖じしない性格で、入社以来新規ベンダー立ち上げにも積極的に関与。シリコンバレーでも多くのコミュニティーに参加し、最新情報を吸収し発信したいと考えている。バスケが趣味だが、ゴルフ鍛錬開始。

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