シリコンバレーテクノロジー 2018.02.26

次世代の買い物体験を創る『Amazon Go』に潜入

こんにちは。Nissho Electronics USA細井です。シリコンバレーのあるサンノゼから飛行機で2.5時間、シアトルに行ってきました。2月8日(木)、小雨混じりのシアトルは生憎の天候でしたが、アマゾンへダッシュ!、話題のAmazon Goを訪問してきました。

1.場所はシアトルのダウンタウン

2018年1月22日、アマゾンが無人決済システムを導入したAmazon Goを一般公開。日本でも話題になっているようですね。Amazon Goの場所は、シアトル市中心街のアマゾン本社ビルの1つ、Day1 の1F部分にあります。こちらもニュースになりましたアマゾン新社屋のジャングルビル『Amazon Spheres』の隣に位置していて観光地化しています。地下鉄の最寄り駅からは歩いて10分弱程度で行けます。

お店の広さは、日本の街中にあるコンビニエンスストアー程度 (10m x 30mくらい)で、スーパーマーケットという広さではありません。予めダウンロードしたAmazon Goのアプリケーションを起動させ、駅の自動改札のようなゲートにタッチして入店します。

2.不思議な感覚の買物体験

店内の天井や、壁に設置されたカメラやセンサーから得られる情報を使って、画像認識技術、ディープラーニングなどを使って、誰が何をとって買い物をしたかを特定し、顧客情報と紐づけています。入口でスーパーの買い物かご代わりのエコバックの様なものが配られますが、使っても使わなくても関係ありません。買い物のやり方は、陳列された食料品や日用雑貨などを手に取り、最終的に出口のゲートから出るだけです。品物に特別なタグ等が付いてはいません。

お店を出て数分すると、スマートフォンアプリにレシートが送られてきます。私も買い物中に手にしたものを一度買い物袋に入れたり、その後返却したりと少し意地悪にシステムの精度を試してみましたが、最終的に購入したものとレシート内容は合っていました。スピード感と精度は素晴らしいですね。お金を支払う作業をせずにお店を出るので、何とも心情的な違和感がありましたが(苦笑)、最初にクレジットカードを使った際に似た感覚でしょうか・・・。やはり実体験ができるのは、駐在員の特権(お仕事)ですね。脳内が活性化した気がします。

3.更なるデータの世界へ

店員を介さない精算はスーパーのセルフレジと同じ感覚ですが、出口で並ぶ必要がなくスムーズに店を出られる体験は大変便利なものです。もちろんAmazon Goはまだ技術的に完璧では無いはずですが、このようなシステムを世界に先駆けてこのタイミングで始めてしまう事に、最新テクノロジーを世に広めていこうとするAmazonの存在意義が感じられます。積極的なデータの有効活用を通じて店とユーザー双方の売買体験の向上を行うところこそ、Amazon Goの魅力なのでしょう。

このような新しい取り組みを実施すると、悪い事をしようと考えるユーザーも中には現れ、それはそれで悪事が出来てしまうかもしれません。しかし、“李下に冠を正さず“ではありませんが、犯罪を犯さなくて済むように、誤解されないような健全な買い物の行動をすれば間違いは少ないでしょう。センサーとデータで徹底管理された店舗は人の目やカメラよりもシビアに状況を捉えます。

また店側の立場で考えれば、タグではなく、画像認識技術を使用することで「何を購入したか?」という結果だけではなく、店内の途中の行動をトレースできることが新しいチャレンジですね。

例えば、

  • 購入するまで迷ったのか?
  • 何と何の製品を比べて、どちらを選んだのか?
  • 全く別な種類の物を検討していた。
  • 結局購入しなかったのか?
  • 前回は購入前に迷ったけれど、今回は迷わずに購入した(気に入ったと推察)

などなどです。このような取得できた情報からユーザーの行動をさらに読み解く仮説が立てられるようになります。ビールを手にしていた人が最終的に止めてワインを購入したが、その後にヌードルをカゴに入れたとすれば「摂取カロリーや炭水化物を気にしているような行動かな?」ということが1つ考えられるでしょう。また、ユーザーの購買行動は入店時にアプリで属性と紐づけられているので、「◯回目の訪問時に何を購入したか?」といったデータと合わせる事で、より精度の高い顧客イメージを想定することも可能です。従来のPOSシステムによる結果だけでは見えなかったものが見えてくる世界は興味深いです。

さらに、顧客視点での利便性向上としては、リアルとネットの融合という事になろうかと思います。上記のようなAmazon Goの店舗でのリアルな行動パターンから、WEB上での表示内容、順番などを更にパーソナライズ化できることで、より買い物がし易いサイトにすることもできるでしょう。

ここから得られる情報で、また新たなビジネスが生まれてくるのは間違いありません。

まずはアプリをダウンロード! 

ベイエリアにお越しの際には1日プラスして、シアトルにも足を延ばされてみてはいかがでしょうか?店内に入るためには、事前にアプリケーションのダウンロードと、クレジットカードの登録が必要です。訪問前に登録完了しておくと、当日スムーズに入店できますのでお忘れなく!

Nissho Electronics USAは上記のようなトレンドを把握の上、来るべきデジタルビジネス時代に備え、様々な観点からシリコンバレーで調査を行い、日商エレクトロニクスと連携し、お客様に対し最適な提案をしてまいります。

お問い合わせフォームより、どうぞお気軽にお問い合わせください。日商エレクトロニクスのサービスの詳細はこちらから。

この記事を書いた人

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Tatsuo Hosoi

2016年3月までネットワーク及びサイバーセキュリティー分野のマーケティングを担当。同4月にNissho USAのPresidentに着任し、ICT全般のマーケティングを担当する。最先端の動向を掴むべく、持ち前の行動力を活かし、青空の下で日々、東西南北動き回る事を楽しみにしている。

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