シリコンバレーテクノロジー 2019.06.21

Nutanix10年の振返りと今後の展望/前編

こんにちは、Nissho Electronics USA 能任(のと)です。 

5月7日から9日の3日間、米国カリフォルニア州アナハイムにて.NEXT2019が開催されました。

今年で開催5回目となる同イベントは、Nutanix社の今後のビジョンや新機能の紹介などを中心としたNutanix主催の年次カンファレンスです。 

今年はNutanix設立10周年という節目の年となりました。 

Nutanix社は2009年設立、2016年IPO、2018年Gartner’s Magic Quadrant for HCI分野ではLeaders & Visionariesの位置付けとなりIT業界で最も勢いのあるベンダーの1社と言えます。今回はそんなNutanix社の登場から現在までを振り返り、今後の展望を2回に分けて記載したいと思います。前編となる本稿では、Nutanix社が誕生した2009年から、現在のNutanix、つまりマルチクラウドアーキテクチャ基盤の実現、その前身となる「エンタープライズクラウド」を発表した2016年までを振り返りたいと思います。 

HCIと共にNutanix誕生、そして日本進出(2009-2014年) 

Nutanix社は2009年12月にDheeraj Pandey氏により設立されました。 

同社は設立から約2年製品開発に注力をし「分散ファイルシステム」を開発、ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(以下、HCI)基盤技術を作り上げ、2011年8月に販売開始いたしました。 

 Nutanix社が開発したHCIは当時主流であったSANストレージを用いた仮想化基盤とは全く違うアーキテクチャとなり、サーバーのローカルストレージをネットワークを利用して共有ストレージ化するというものでした。SANストレージを排除することでサーバー、ストレージ、SANスイッチからなる3Tier構成の煩雑さ、スケールなど様々な問題を解決することができるとして注目を浴び始めましたが、まだまだ日本ではその画期的な製品を採用する会社は少ない時代でした。 

そのような時代の中、2012年4月に当社は国内初で代理店契約を締結をして日本マーケットへNutanix製品の販売を開始いたしました。2012年Interopのクラウドコンピューティング&バーチャリゼーションではBest of Show Award グランプリを受賞し日本でも少しつづ注目を浴び始めた年となります。 

2013年にはニュータニックス合同会社も設立され、本格的にNutanixが日本市場に展開されていく大きな節目の時期となりました。

 (記念すべき国内Nutanix1号機、筐体の天板に創業メンバーのサインと手書きメッセージが記載されています。現在は弊社豊洲技術センターに展示されております) 

アクロポリス・ハイパーバイザーが登場した記念すべき第一回.NEXT開催(2015年) 

記念すべき第一回.NEXTがフロリダ州マイアミにて開催された年となります。全体で約1,000名の参加となり、日本からは10名ほど参加をされておりました。カンファレンスのテーマは「インビジブル」。IT部門の方がインフラ管理から解放され、ビジネスの原動力となるアプリケーションなどの開発業務に専念できるよう、ITインフラを「見えなくなる」くらいにシンプルにして運用できるようなインフラ「インビジブル・インフラストラクチャ」を 作るというコンセプトを発表いたしました。そのコンセプトを実現するために本カンファレンスでは様々な機能がございました。 

本カンファレンスでの最も注目を浴びた発表の1つとして「アクロポリス・ハイパーバイザー(以下、AHV)」の発表となります。KVMをベースとした独自のハイパーバイザーをNutanix社が開発&提供するという当時は非常にインパクトのある発表でした。 

ハイパーバイザーレイヤをNutanixがカバーすることは本当に可能なのかということを、当時当社主催ツアーで参加をしていただきましたお客様・パートナー様含めてディスカッションしたことがとても懐かしいです。 

Nutanix社調べによるとAHV発表から4年が経過した2019年現在、全体出荷ベースのうち約40%がAHVを採用という状況ですが、当時は誰も想像ができなかった時代でした。 

(第一回.NEXTカンファレンスのロゴ) 

ハイパーコンバージドからエンタープライズクラウドへ(2016年) 

第二回.NEXT Conferenceはネバダ州ラスベガスで開催され、前回参加1,000名より大幅に増えて2,500名の参加となりました。テーマは「エンタープライズクラウド」。ハイパーコンバージドからエンタープライズクラウドへと進化していくというコンセプトを出しました。 

Nutanix社が、HCIのHW提供企業というイメージから、AWSのようなクラウドサービスをエンタープライズでも同様に提供する企業として、企業コンセプトをアップグレードした年です。 

  AWSのように瞬時にインフラを構築できる手軽さ、シンプルな使い勝手の基盤、クラウドネイティブなアプリケーションを稼働、企業が抱える既存のアプリケーションの双方を安心して動かせる基盤をハイパーバイザー非依存で提供していくということを説明し、まさに「エンタープライズクラウド」を実現していくことを強く発信していきます。 

  今ではNutanixで実装され多くのお客様に使われている以下のような機能もこの年に発表され、AHV上で提供できるソフトウェアリリースが増えるにつれ、Nutanix社が飛躍する年となりました。 

Acropolis Container Services(Dockerコンテナサポート) 

Acropolis File Services(Nutanix上でネイティブに提供されるファイルサーバ) 

Acropolis Block Services(物理サーバから直接マウント可能なiSCSIのストレージとして利用する機能) 

One Click Move(ベアメタルで稼働しているものを無停止でNutanix上に移行) 

*当時発表された機能名で記載しております 

(.NEXTにてNutanix CEO Dheeraj氏がエンタープライズクラウドへの挑戦を行っていくという説明)                                         

後編は2017年から現在に至るまでのNutanix社の過程と2019年5月に開催された.NEXT Anaheimで発表された今後の展望について執筆したいと思います。公開は2019年7月を予定しております。 

Nissho Electronicsは最新テクノロジートレンドも視野に入れた、デバイスにとどまらない提案と構築・保守・運用の一貫したソリューションをご提供しています。サービスの詳細はこちらからご覧いただけます。また、弊社へのお問い合わせはこちらのフォームよりお気軽にご連絡ください。

 

この記事を書いた人

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Shuichi Noto

2008年にユニアデックス入社。5年間の大手通信キャリア向けの営業を経験した後、日商エレクトロニクスへ入社。大手OTTの情報システム部門向けにVDIやWeb会議などの働き方改革を促進するソリューションの販売に従事。2019年よりNissho USAに赴任。お客様のビジネスを共創&サポートできるようなソリューションの発掘を目指し日々活動中。担当領域はITインフラ全般、ヘルスケア業界、地域創生など。趣味はゴルフとサッカー。

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