シリコンバレーテクノロジートレンド 2021.04.21

今さら聞けないAPI!企業が活用すべき理由とは?

アメリカでは今、企業の競争力が技術から顧客体験へと変化しつつあります。その変化を支えているのが、機能をAPIで提供するベンダーの存在です。

…と聞いて「なるほど!」とすぐに納得できる人は少ないかもしれません。実際にはAPIという言葉を耳にしたことはあっても、どんなメリットがあるのかを問われると言葉に詰まる人も多いのではないでしょうか?そこで今回は、APIが顧客体験の向上にどう貢献するのかについて、一から分かりやすく解説したいと思います。

機能をAPIで提供するベンダー(Chris Gaertner氏の記事より引用)

そもそもAPIとは?

APIとは「Application Programming Interface」の略で、アプリケーション(Webサービスやシステム)をプログラミング(Pythonなどのプログラミング言語)を使って繋ぐものです。APIのメリットは、自分が開発したシステム上で他の人が開発した便利な機能を使うことができるという点です。例えば、開発者があるサービスに決済機能を追加したい場合、自身で決済機能を開発をすると手間と時間がかかりますが、他企業が提供している決済機能をAPIで接続すれば、素早く機能を追加できます。

例えば以前日本でも話題になったClubhouseでは、音声機能をAPIで提供するAgora.ioの製品を活用しているほか、フードデリバリーを提供するUber Eatsではナビゲーション機能としてGoogle MapsをAPIで接続して利用するなど、身近で使われているサービスの裏では多くの機能がAPIで接続されています。

APIファースト製品の活用フローイメージ(Chris Gaertner氏の記事より引用)

APIが普及した背景

API技術は分散コンピューティングが登場した時から存在していましたが、普及したのはここ10年ほどのことです。その背景にあったものについて、投資家のChris Gaertner氏は自身の記事で顧客体験、デジタルトランスフォーメーション、マイクロサービスアーキテクチャの3点を挙げています。

この10年で企業は顧客体験の設計を重視するようになりました。スマホやSNSの普及で顧客との接点が広がったことで注目され始めたのが、複数のチャネルでユーザーにアプローチするデジタルファースト戦略です。その戦略を実現するために多くの企業では従来のオンプレミスからクラウドに移行し、複数のクラウドサービスを活用するようになりました。

そうして顧客へのアプローチ方法が多様化してくると、従来のモノリス(一枚岩)アーキテクチャでは対応できないことが増えてきます。そこで起こったのが複数の小さなサービスの集合体としてアプリケーションを構築するマイクロサービスアーキテクチャへのシフトです。こうすることで企業はより柔軟にサービスをスケールできるようになりました。

こうした変化の中でAPIはさまざまなサービスを接続する仕組みとして活用されるようになったのです。

新規事業でAPIファースト企業を活用したい理由

自社で新規事業を考える際、APIファースト企業を活用するとさまざまなメリットがあります。

まず挙げられるのはコストやリソースを節約できる点です。新規事業部ではたいてい人員が限られており、いかに自社のリソースを有効活用するかが鍵となります。そこでほとんどのサービスで必要となる決済やECサイトなどはAPIファースト企業が提供する機能を使うことで、独自で強みを出したい部分の検討や開発に注力できます。またAPIファースト企業の料金体系は利用量ベースのものが多いため、仮に新サービスが予想に反して使われなかった場合でも無駄なコストを支払わずに済むという点での採用しやすいと言えるでしょう。

サービスの開発スピードが上がる点も企業にとって大きなメリットです。もちろんコードを埋め込むなどの作業や検証は必要になりますが、自社開発に比べると圧倒的に早く機能を実装できるようになります。

何よりも、APIファースト企業を活用することで優れた顧客体験を設計できます。そもそもAPIファースト企業は1つの機能に特化して開発しているため、サービスの質が高い傾向にあります。そのためそうした機能を組み合わせることで、自社ですべて開発するよりも顧客体験に優れたサービスを実現できるのです。ライドシェアサービスのUberの例では、ナビゲーションにGoogle Maps、決済にBraintree、SMSチャットにTwilioなど数多くの機能をAPIで接続して活用することで、従来のタクシーにはなかった新たな顧客体験を生み出しました。

各機能毎にAPIファースト製品を提供する代表的なベンダー(Chris Gaertner氏記事より引用)

NisshoUSA注目ポイント

日々スタートアップの調査をしている中で、まだシードやシリーズAの段階でありながら製品自体の完成度が高いスタートアップは、裏でAPIファーストの製品を活用していることが多いと感じます。そうした企業が見据えているのは、顧客体験での差別化です。

実際、APIファーストの製品を活用することで、これまで開発のハードルが高かった機能を簡単に実装できるだけでなく、今後ノーコード開発手法がより発展していくことで開発ハードルが下がっていくことが予想されます。言い換えれば技術面で差別化を図ることは難しくなり、そしてせっかく作ったサービスも真似されやすくなるでしょう。そういう意味では、今後自社での技術開発よりも、いかにAPIファースト企業の機能を組み合わせて新たな顧客体験を作っていけるかが、企業にとってより重要になるのではないでしょうか。

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Nissho USAは、シリコンバレーで35年以上にわたり活動し、米国での最新のDX事例の紹介や、斬新なスタートアップの発掘並びに日本企業とのマッチングサービスを提供しています。紹介した事例を詳しく知りたい方や、スタートアップ企業との協業をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

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Shuichi Noto

2008年にユニアデックス入社。5年間の大手通信キャリア向けの営業を経験した後、日商エレクトロニクスへ入社。大手OTTの情報システム部門向けにVDIやWeb会議などの働き方改革を促進するソリューションの販売に従事。2019年よりNissho USAに赴任。お客様のビジネスを共創&サポートできるようなソリューションの発掘を目指し日々活動中。担当領域はITインフラ全般、ヘルスケア業界、地域創生など。趣味はゴルフとサッカー。

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