DXを支援する注目スタートアップ 2021.10.03

【TechCrunch Disrupt 2021】スタートアップバトルフィールド出場スタートアップ紹介!

TechCrunch主催の年次カンファレンス「TechCrunch Disrupt 2021」が米国時間9月21日から23日にかけて、昨年と同様オンラインにて開催されました。著名人による多くのセッションが用意された中、今年も注目を集めたのがスタートアップバトルフィールドです。

9月21日と22日にそれぞれ10社ずつピッチを行い、ファイナルに残ったスタートアップが最終日の23日に再度ピッチを行い優勝者が決まりました。今回はそのなかから最終日に残ったスタートアップ5社を紹介します。

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Cellino Biotech(米国)

今年のスタートアップバトルフィールドの勝者に輝き、賞金$100,000(約1.1千万円)を獲得したのは米国スタートアップのCellino Biotechでした。Cellino Biotechは再生医療の分野で事業を展開するスタートアップで、iPSCs(人工多機能幹細胞)の生産を自動化するプラットフォームを開発しています。

iPSCsは様々な疾患の治療への活用が期待される一方で、その製造プロセスは自動化されていないため手間・コスト・時間がかかってしまうという課題があります。Cellino Biotechの生産自動化のプラットフォームはそのような問題の解決を目指しており、最先端のAI技術、レーザー、ソフトウェア、ハードウェアなどを組み合わせて開発中です。

Co-Founder&CEOのNabiha Saklayen氏のプレゼンしている様子

Nth Cycle(米国)

米国スタートアップのNth Cycleはリサイクル業者や採掘業社向けに電子機器の廃棄物などから効率的にコバルトやニッケル(レアメタルの一種)などを回収する装置を開発しています。現在の技術でもそられのレアメタルを回収することができますが、大型の設備が必要だったり、回収プロセスの際に多くの温室効果ガスが発生したりするなど様々な問題を抱えていました。そのような中、Nth Cycleが提供する装置の特徴は電気化学的に改良されたフィルタープレスを利用している点で、そのフィルターをベースとしてろ過と電解採取を同時に行うことで、温室効果ガス排出を抑え、費用削減に繋げます。

更に装置のサイズは約90平方メートルと、従来の装置と比べてコンパクトなため設置しやすいというメリットもあります。

Nth Cycleによると北米のリチウム電池リサイクルならびに採掘マーケットは2030年までに$167B(約18.3兆円)となり、今後大きく成長する市場だと予想しています。

Nth Cycleの装置を説明している様子

Tatum(チェコ共和国)

Tatumはブロックチェーン開発を手助けするプラットフォームをAPIで提供するスタートアップです。ブロックチェーンは暗号化通貨やNFT(非代替性トークン)など様々な場面で活用されている技術で、BitcoinやEthereumなど数多くの種類が存在し、開発者は用途によってそれらを使い分けています。

それぞれのブロックチェーンで使われている言語は異なるため、専門家でしか使いこなせず構築にも時間がかかるという課題がある中で、Tatumが提供すのはそれらの課題に対するソリューションをAPIで提供するプラットフォームです。開発者はそのプラットフォーム上で操作するだけでサポートしているブロックチェーンを構築することができるため、これまでのようにそれぞれのブロックチェーンの技術を学ぶ必要がなくなり、専門家でなくともブロックチェーンを開発できるようになりました。既にMasterCardがTatumのプラットフォームを使ってブロックチェーンベースの決済システムを立ち上げています。

少し前からAPIで様々な機能を簡単に実装できるようになったり、ノーコードでアプリを開発できるようになったりと民主化が進んでいますが、その流れはブロックチェーン領域にも広がっています。

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Adventr(米国)

Adventrはスマートメディアプラットフォームを提供する米国スタートアップで、視聴ユーザー毎にビデオコンテンツの進む方向を変えられるのが特徴です。デモで流れたのはTarget(米国の量販店)で店員が服を案内する動画で、店員がピンクまたは緑のどちらの服がいいか尋ねたのに対して、ユーザーが声で選択すると、その回答に沿って動画が進みました。動画をユーザー毎にパーソナライズさせることで、従来とは全く異なるユーザー体験を提供することができます。

また、その動画作成の操作も基本的にはドラック&ドロップとなるため、コーディングなどの専門的な知識は不要です。月額$29(約3200円)から利用できるほか、機能制限がある無料プランも提供しています。

ターゲットの店員が製品を勧めているデモ
動画作成イメージ(Adventr公式ウェブサイトより引用)

Koa(ケニア)

ケニアでは多くの人が銀行に預金せず、マットレスの下などにお金を保管しています。その背景には金融機関で口座を維持するための手数料が$10程度必要だったり、口座開設までに20日かかるほか、不正な金融管理などが長年にわたり発生しているなどの理由があります。そのような中、Koaは消費者にとって使い勝手が良いデジタル銀行の提供を目指しています。そのコンセプトは金融サービスへのアクセスのし易さ、透明性、柔軟性の3点で、ユーザーがお金を預けることで利息を得られる仕組みを提供します。米国や日本で暮らしていると特に目新しいものではありませんが、ケニアなどの途上国では今後成長が期待される市場です。

NisshoUSA注目ポイント

私が今回のピッチイベントで注目したのスマートメディアプラットフォームを提供するAdventrです。現在YouTubeやApp TV+など様々なストリーミングサービスがある中、自分が選んだ選択肢によってストーリーが変わるというのは新たな顧客体験を提供できるほか、エンターテイメントだけでなくオンライン販売など様々な場面で活用できる点が魅力的だと感じたためです。製品の動画を見るのにも、ユーザーが選択した内容に沿った動画が提供されることは購買意欲を高めることに繋がるかもしれません。

コンテンツ作成などコーディングなどの専門的な知識が不要という点で、様々な場面で新たなビジネスチャンスが生まれそうです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
Nissho USAは、シリコンバレーで35年以上にわたり活動し、米国での最新のDX事例の紹介や、斬新なスタートアップの発掘並びに日本企業とのマッチングサービスを提供しています。紹介した事例を詳しく知りたい方や、スタートアップ企業との協業をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

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Shuichi Noto

2008年にユニアデックス入社。5年間の大手通信キャリア向けの営業を経験した後、日商エレクトロニクスへ入社。大手OTTの情報システム部門向けにVDIやWeb会議などの働き方改革を促進するソリューションの販売に従事。2019年よりNissho USAに赴任。お客様のビジネスを共創&サポートできるようなソリューションの発掘を目指し日々活動中。担当領域はITインフラ全般、ヘルスケア業界、地域創生など。趣味はゴルフとサッカー。

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