イノベーティブ・スタートアップ 2021.10.03

チャットツールを統合するMioに注目!Enterprise Connect 2021アワード受賞スタートアップ

米国時間2021年9月27日から29日にかけて、次世代のコミュニケーションをテーマとしたカンファレンスEnterprise Connect 2021がフロリダ州オーランドの会場とオンラインのハイブリッドで開催されました。当日はZoom、Microsoft、Ciscoなどコミュニケーションツールを提供する企業によるキーノートのほか、スタートアップによる数多くのセッションが行われました。なかでも注目を集めたのが以下4つのアワードです。

  1. Best Innovation for Virtual Meetings(バーチャルミーティングのベストイノベーション)
  2. Best Application of Artificial Intelligence(人工知能によるベストアプリケーション)
  3. Best Innovation in Customer Experience(カスタマーエクスペリエンスにのベストイノベーション)
  4. Best Innovation for the Post-COVID Workspace(コロナ後のワークスペースにおけるベストイノベーション)

1. Best Innovation for Virtual Meetings(バーチャルミーティングのベストイノベーション)

バーチャルミーティング部門でWinnerに選ばれたMioはSlack、Teams、Zoom chat、Webexのチャット機能を統合するツールを提供しており、2016年のYコンビネーターデモデーにも参加した米国スタートアップです。社内外のコミュニケーションでEメールのほかビジネスチャットを利用することが多くなった中、顧客やパートナー企業毎に利用しているツールが異なり複数のツールを使わざるを得ないという人は少なからずいるのではないでしょうか。Mioでは、そのようなユーザーの作業効率向上を手助けします。

様々なチャット機能を統合して表示・管理するツールは増えていますが、多くはその統合ツール上のUI上で操作するというものです。Mioが特徴的なのはユーザーの操作がメインで使っているチャットツール上で完結する点です。例えばSlackのユーザーが、Teamsのユーザーにメッセージを送る場合、送信側はSlack上でメッセージを投稿するだけで、受信側がTeamsでメッセージを確認することが可能です。初期設定を行うだけで、相手が使うツールの種類を気にすることなく、普段使っているツールを利用することができます。

MioのUIイメージ、SlackからTeamsに直接メッセージが届いている様子(Mio公式ウェブサイトから引用)

Mio【Winner】
Zoom
Poly

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2. Best Application of Artificial Intelligence(人工知能によるベストアプリケーション)

人工知能部門では3社が受賞しました。そのうちの1社が2021年7月にZoomが買収を発表して注目を集めたCCaaS(コンタクトセンター・アズ・ア・サービス)を提供するFive9です。新型コロナウイルスの影響で成長を加速させたZoomが、その成長を加速させるための次の一手がコンタクトセンター領域です。Zoomが既に提供しているクラウド電話サービスZoom PhoneとFive9を統合することにより、より高品質で利便性の高い新たなサービスが出来上がることが期待されています。

Five9【Winner】
Amazon Web Services【Winner】
Voice interaction【Winner】
Sprinklr
Uniphore

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3. Best Innovation in Customer Experience(カスタマーエクスペリエンスのベストイノベーション)

カスタマーエクスペリエンス部門ではCXM(カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント)プラットフォームを提供するSprinklrが選ばれました。ユーザーとのタッチポイントが電話、Eメール、ウェブサイト、InstagramやTwitterなどのSNSなどと増えていく中、多くの企業ではそれぞれ得られる顧客データの収集と活用が課題となっています。Sprinklrが提供するのは、それらを1か所にまとめるプラットフォームで、企業がユーザーをより深く理解してサービスの改善に繋げることを目指しています。

Sprinklr【Winner】
Voximplant

4. Best Innovation for the Post-COVID Workspace(コロナ後のワークスペースにおけるベストイノベーション)

コロナ後のワークスペース部門では電子黒板や会議室などに適したディスプレイを提供するNewlineが受賞しました。同社は世界各国の教育機関向けに電子黒板を提供しているほか、会議室向けに特化したWindowsOS・カメラ・マイクが内臓された様々なサイズのタッチディスプレイなどを提供しています。コロナ後の働き方として在宅勤務とオフィス勤務とのハイブリッド型が普及することが予想される中、今後オフィスの会議室用にNewlineのディスプレイの需要が増えていくかもしれません。

Newline【Winner】
Slack
BlueJeans by Verizon
Crestron
Wahsega
X2o media

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NisshoUSA注目ポイント

今回選ばれたアワード企業で注目するのはMioです。私自身、日々の業務ではEメール、Slack、Teams、LinkdInのチャット機能などを使い分けています。複数のツールを使うのは非効率だと感じる一方、相手がある話なので仕方がないと割り切っていました。Mioは対応しているツールは4つと限定的ではありますが、さまざまなツールを切り替えることなくメインで利用しているSlackのみの操作で済むのなら助かります。

以前の記事で、過去のキーボード入力を学習して候補の一覧を表示するメッセージ自動生成ツールCompose.AIを紹介しましたが、それを同じように劇的な業務効率化に繋がる可能性は低くとも、作業効率が10%程度上がるだけでも利用価値はありそうです。

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この記事を書いた人

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Shuichi Noto

2008年にユニアデックス入社。5年間の大手通信キャリア向けの営業を経験した後、日商エレクトロニクスへ入社。大手OTTの情報システム部門向けにVDIやWeb会議などの働き方改革を促進するソリューションの販売に従事。2019年よりNissho USAに赴任。お客様のビジネスを共創&サポートできるようなソリューションの発掘を目指し日々活動中。担当領域はITインフラ全般、ヘルスケア業界、地域創生など。趣味はゴルフとサッカー。

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