イノベーティブ・スタートアップ 2020.05.19

ソーシャルディスタンス決済を実現する次世代超音波通信スタートアップ「LISNR」

COVID-19の影響もあり、リテールにおける電子マネーやモバイルを活用した非接触型決済モデルは、今後益々注目を浴びる分野といえるでしょう。Mastercardの調査によると、モバイル決済利用率は、2020年第一四半期調べで既にこれまでと比較し40%超の増加があったと報告されています。

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今回ご紹介するスタートアップは、その非接触型決済分野などで活躍を期待されている「LISNR(リスナー)」です。

超音波を活用した次世代データ通信技術で、決済からマーケティングまで幅広くカバー

電子マネーやモバイル決済といえば、QRコードやNFCなど、特定周波数の無線データ通信技術を活用したテクノロジーを思い浮かべる方が多いと思いますが、「LISNR」は人間の耳には聞こえない超音波にデータをのせて通信します。

LISNR」がこれまでのテクノロジーと違って優れているポイントは以下の5点です。

  1. 12インチ(約30センチ)から200フィート(約60メートル)の通信距離に対応
  2. 「1:1」のデータ通信ではなく、「1:複数」「複数:複数」という通信を実現
  3. 音によるデータ通信のため、マイクとスピーカーが付属しているスマホやPOS端末など、既存端末との相性がよい(必要に応じてLSNRの専用ハードウェア端末を利用することも可能)
  4. 双方向のデータ通信が可能
  5. 通信対象のデバイス認証やセキュリティ機能が充実

これにより、例えばリテール店舗においては、1つのPOS端末で同時に複数ユーザの決済を完了することができ、POSのコスト削減や決済の効率性を確保することが可能です。また、リテールアプリと連携し、店舗内でプッシュ型のおすすめ商品情報やお得情報など、マーケティング施策としても活用することもできるよう能になります。オンラインによるデジタルチャネルへ変化をとげていく中で非常に期待がもてるソリューションです。

Nissho USA注目ポイント

決済は人々の生活には欠かせませんし、顧客体験という意味ではまだまだ進化が必要です。また、COVID-19によるソーシャルディスタンスの確保など、これまでの人と人との対面による顧客接点から、オンラインショッピング含め、非対面におけるデジタル接点の構築は非常に重要になってきています。そのような中、世の中に未だ浸透しておらず、他とは異なる一歩進んだテクノロジーを採用することは事業の差別化においてポイントになると思っています。「LISNR」はその可能性を大いに秘めています。

また、決済大手であるVISAカードが出資し、注目しているテクノロジーであること、日本からもNTTドコモが出資していることなどから、早期日本進出も期待すべきスタートアップだと思っています。

会社概要

設立年 2012年
所在地 米カリフォルニア州オークランド
従業員 50名程度
創設者 Eric Allen(CEO&President)
資金調達 $30M(2020年5月現在)
VC VISA, Intel Capital, Techstarsほか
URL https://lisnr.com/

※crunchbaseデータベース参照

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この記事を書いた人

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Nobuyuki Komatsu

2004年、日商エレクトロニクス入社。JuniperやBrocade、Viptelaなどネットワークを軸としたインフラ製品の事業推進や新規ベンダー立ち上げに関与。2017年10月よりサンノゼ赴任。シリコンバレーで得られる最新の情報を発信しつつ、新たなビジネスモデル開発に向け日々奮闘中。2020年現在の担当領域は、クラウドやフィンテック、インシュアテックなど。バスケットボールとキャンプが趣味。

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